第15回 学習会のご報告

15回学習会は最終回だけに、SDGsの実現を目指すSociety 5.0 (Society 5.0 for SDGs)の人間中心社会において重視される人々の生きがい・ウェルビーイング(well-being)に着目しました。その新しい時代に対応したウェルビーイン実現のためには、多様な価値観に対応し、新たな価値を創造できる人材を多く輩出することが求められています。その人材として、健康教育士への期待は益々高まってきています。健康教育士は人々(素人)の多様な価値を承認し、健康を創り、ウェルビーイン(幸せ)に生きる力を高めることを支援する専門家だからです。健康教育士は無論のこと、一般の人にとっても,ウェルビーイングについて考究することはとても大切ですので、観光界でウェルビーイングの視点からのまちづくりに,国の先導者として大活躍の髙橋氏(兵庫県公立大学法人芸術文化観光専門職大学 准教授、ヘルスツーリズム研究所長)に有意義な実践例を交えながらお話し頂きました。 
 こちらからの要請は高橋氏による要旨、「地球環境や自然環境が適切に保全され、将来の世代が必要とするものを損なうことなく、現在の世代の要求を満たすような開発が求められる時代となり、あらゆる面で持続可能性が強く問われている。2025年に開催される大阪・関西万博においても、「いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives」がテーマとなり、SDGs達成、SDGs+beyondへの飛躍の機会、Society5.0実現に向けた実証の機会などが、開催の意義として謳われている。観光分野の視点からも、持続可能な観光地づくりを前提にウェルビーイング視点が求められ、これがまちづくりとしても受け止められるようになってきた。ここには健康教育士の知見や技術が求められているので報告する」に簡潔に明記されています。そして、有意義な実践例として、兵庫県富岡市における、来訪者と受け入れ側(地域)とのウェルビーイングづくり(大交流)について、市民+産官学、行政の縦割りでなく連携型取り組みなどを通しての試みを紹介する一方で、今後の留意点として次の指摘がなされており注目に値する。
1.ウェルビーイングの研究は学際的、且つ様々な ウェルビーイングの解釈がある。 健康教育分野ではどのように位置付け、 どのようにウェルビーイングを解釈するのか。
2.あらゆる面で持続可能なことが求められる中、 観光分野でも持続可能が追求されている。 その中心的な発想としてウェルビーイングが組み込まれつつある。 万博はそのさらなる契機になるとみられている。
3.観光現場での健康づくり(ヘルスツーリズム)が 定着しつつあるが、観光現場で 健康に関する専門人財(プログラムを作ることができる人 指導できる人)が不足している。 健康教育士の職域として「観光」を加えられないか。