そこで、健康教育の独自性を確保するために、NCHEC (The National Commission for Health Education Specialist)による7つの責務(ニーズアセスメント、プラニング、実施、評価、コーヂィネーション、リソース、コミュニケーション)とSOPHY(Society for Public Health Education)による大学院レベルでの3つの責務(研究成果の適用、健康教育プログラムの管理・運営、健康教育職の進歩)の計10の能力に基づいて、日本風にアレンジした養成カリキュラムづくりに努めました。

 この準備が整ったところで、2001年(平成13年)にNPO日本健康教育士養成機構が「我が国の一般市民に対して、健康教育の普及向上に努め、さらに有能な健康教育士の養成を図り、もって国民の福祉と健康の増進を図ること」を目的に発足しました。有能な健康教育士とは、米国型のアクチィブな活動を想定しており、「健康教育を通じて、全ての人々の福祉と健康の増進をはかり、QOL向上に寄与する専門職」であり、次の職責を果たさなければなりません。

  1. ①自らの健康教育の専門性の向上に研磨する
  2. ②対象者である全ての人々が自ら生涯にわたって生きがいを創出し、環 境を創り出す自己教育(学習)力を培うことができるよう支援する力を高める
  3. ③多様な関連職種と連携し、情報の共有・協議・研究を行うことができるよう環境づ くりの力を高める

この背景には2000年に開始された健康日本21のヘルスプロモーションの理念、戦略が関わっています。2000年の報告書「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)の推進について」の総論の始めには、ヘルスプロモーションの理念について、「自らの健康観に基づく一人ひとりの取り組みを社会の様々な健康関連グループが支援し、健康を実現すること」にあり、「疾病による死亡、罹患、生活習慣上の危険因子などの健康に係わる具体的な目標を設定し、十分な情報提供を行い、自己選択に基づいた生活習慣の改善および健康づくりに必要な環境整備を進めることにより、一人ひとりが稔り豊かで満足できる人生を全うできるようにし、併せて持続可能な社会の実現を図る」と記されている。この稔り豊かで満足できる人生(QOLの向上)を実現する戦略として、個人の力と社会の力とを相互に関連づけるとしています。

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